ジジイと呼ばれる大家⑮左はネズミ、右はスズメバチ
ここ最近、天井からカサカサっと音が聞こえる。夜中の2~3時の間が、最も騒がしい時間だ。
「ねえ、ジジイ。天井からカサカサ音が聞こえるんだけど」と、言うと・・・
「アライグマがベランダで毛を搔きむしってるんだ」と、自信満々に答えるジジイ。
ジジイにしてみると、全ては、アライグマの仕業。
「たぶん、ねずみだと思うよ」・・・
ジジイは、アライグマと言って譲らない。
ある深夜、ベランダに行ってアライグマがいないことを確認した私は、ジジイを私のユニットに呼んで、カサカサという小動物が天井を這う音を聞かせた。
「ねずみだ・・・」ジジイもようやく、アライグマ疑惑説が間違えていたことを認めた。
つぎの日、ジジイが、超音波を出すネズミ駆除器を持ってきた。手のひらサイズほどのディバイスを使いネズミを追い出すという作戦。さっそく、ジジイは、右手に持っていたノコギリで天井のドライウォールに穴を開け始めた。
「穴をせっかく開けるんだったら、豪快に大きく♬」と、ジジイがやけに張り切る。その姿をちょっと離れたところから見守る私。
暖炉左上の天井にかなり大きな穴が開いた。ジジイが穴を覗くと、「ネズミの巣、発見!」と、興奮気味に言った。ほこりと断熱材とねずみの糞を片付けるジジイ。
「おい、これ見てみろ。ネズミも自分のお気に入りの建築材料があるんだな~」と、ジジイは、ネズミが集めた枯れ葉や小枝を指さした。
それらは、驚くほど形が似ており、サイズもほぼ同じ大きさであった。しかも、庭の片隅に植えてある椿の実(種の殻)が沢山混ざっているではないか?!
暖炉上の天井(=冬は天井が温かくなり床暖房状態)、直ぐ外には椿の木(=餌)、そして氷室京介の音楽。。。。私のユニットの天井は、ネズミにとっては、天国?
そんな、天国をジジイは、破壊してしまったのだ。しかも、今から超音波ネズミ駆除器を設置するという、ジジイは、最悪のディストゥルットーレである。mamma mia !!
「ところで、ジジイ。ネズミがいるってことは、出入り口があるってことでしょ?穴はどこよ?」ジジイに何となく聞いてみた。
「それなら、昨日、それっぽい穴を外壁に見つけた」と、ジジイが外壁に近い右上の天井を指さした。
「それなら、暖炉右上の天井も穴を開けてみて何もおかしなことになっていないか確認してみれば?それに念のために内側からも穴をふさがないと!」と、ジジイに何となく言ったら、ジジイは、素直に「おおー、ネズミの穴を内側から塞ぐのもいい手だ!」と私の話にのってきた。 再び、ノコギリで暖炉右上の天井に穴を開ける。またまた、私の部屋はほこりだらけ。

その時、ジジイのイタリア語でOh my Godらしき叫びが部屋に響いた。
何が起きたのだ!?ジジイ。これ以上の問題は、もうやめてくれ。来月の家賃は滞納するぞ!
その時、私の目の前の光景は、80年代のB級サイエンス・フィクション映画の1シーンだった。ホコリまみれのジジイが新たな穴から取り出したその未確認物体は、繊維系断熱材と融合した茶色のバスケットボールサイズの塊。
今度は何~。汗
Σ(゚д゚lll)
それは、衝撃的なスズメバチの巣。。。。。。。。。。。。。
左はネズミの巣。右はスズメバチの巣。私の家は、ワイルドライフ?
「ジジイ、こんな劣悪な環境で家賃取るの悪人じゃない?」と、ジジイに抗議。
「いつものことだ」と、ジジイ。
そうだった、この家は、普通じゃなかった。