多様化はしてみたものの・・・『性別』というカテゴリーにとらわれず自由に生きられる世の中に!
急に寒くなっちゃって、気が付けば11月。ダークな季節の到来である。そうだ、妹は何してるのかしら?早速、連絡。
「Hello、妹。元気にしてるかしら?火鍋にでも行かない?」
妹、即OK。
翌日、火鍋レストランで鍋を囲みながら近況報告をすることに。まずは、カナダ市民権を獲得したばかりの妹の初選挙体験の感想を聞いてみた。
妹:「姉ちゃん、私ね、school board trustees(教育委員会理事)は、〇〇に投票したの」
私:・・・・・
口に入れた鍋の具を吐き出すところであった。
妹:「分かっているわ。この人、gender inclusivity(包括的性教育)に対してアンチなのよ」
私:「トランスジェンダーのあなたがgender inclusivityに反対なの?」
私の妹は、最もLGBTQをサポートしない女なのである。妹の爆弾発言を聞く前の私は、LGBTQコミュニティーのほとんどは、多様化した学生のジェンダーを包括的性教育の1つとしてリベラル教育をしていくべきかと・・・・
私の勝手な思い込みであったことにまたもや反省。妹よ、姉ちゃんは、あなたのことを分かってあげてなかったわ。ごめん。
妹:「姉ちゃん、良く考えてみてよ。精神的に幼い子供がカミングアウトして、その代償がどんなものか子供にわかると思う?」
私:「そうね、いい大人になった私でも、自分の下した決断が正しかったのかそうでなかったのか判断できない時もあるし、大切な事を決めるときは、今でも悩むわ~」
悩む顔をして鍋の肉を箸でつまむと、妹がすかさず、「姉ちゃん、未だ煮えてない!」と鍋に肉を戻す。姉ちゃんは、肉の煮え具合の判断も危うくなってきている判断力である。
私:「あなた自身が、トランスジェンダーだから、子供たちの気持ちも良くわかるのね」
姉ちゃん納得。肉がダメなら、シイタケをいただこう。
妹:「わかるわからないの問題じゃないのよ。子供たちは基本的にアホよ。未熟なのにそんな大きな決断を軽くしてはいけないわ」
私:・・・・・・・『アホ』言ったか?・・・・・・・
妹:「一時的な勘違いってこともあるでしょ?」
私:「姉ちゃんは、常日頃勘違いしてるぞ。勘違いの常習犯である」
妹:「勘違いで、乳房切除しちゃったり、チ〇チ〇切っちゃったら、どうすんのよ?!」
私:「でも、後悔している人たちの話、あまり聞かないよ」
妹:「人間がカテゴリーで結束すると、都合の悪い真実は隠すものよ。ハードコア―の運動家たちは特にそう」
おおー、そうか。姉ちゃん、また納得。
妹:「私が言いたいのは、体にメスを入れるのは、学校を卒業してからにするべきよ。LGBTQを理解していない医者になんてかかったら、大変よ。私のポイントは、不必要な手術は絶対ダメ!」
姉ちゃん、また納得。ウズラの卵を箸で取れない私に、妹は、せっせと私のとんすいに卵を入れてくれる。
私:「姉ちゃんとしては、人間で生まれてきた限り皆に幸せになってほしいわ。人生のUp and Downの中で、自分のアイデンティティーは、絶え間ない再創造が繰り替えされるわけだけど、後悔はならんなぁー」
そろそろ肉を食べてもいいかな?と妹に確認。
妹:「LGBTQのカテゴリーなんて無くていいのよ。私は、私なの。一人の人間なの。この一人の人間を認めてくれればいいのよ」
妹よ、ぐつぐつと湯気の立つ火鍋の前で熱弁をするあなたは立派である。姉ちゃんは、妹がトランスジェンダーだろうが、以前のオタク少年であろうが、あなたが幸せに生きてくれればそれでよし。思い出せば、妹との最初の出会いは、妹が女子更衣室におどおど遠慮がちに入ってきた時だっけ。心は女の子だったけど、体は、男の子だったわね。こんな自分ではあるが、更衣室は女の子の方を使っても良いかと、聞いてきたあなたにおばちゃんは、涙出てきそうだったわ。
生きづらいんだなって・・・・
LGBTQの権利は、カナダのほうが日本よりはるかに守られている。2017年には、トルドー首相が、カナダの過去の性的少数者差別を謝罪した。恥ずかしいことに日本は主要7カ国(G7)で唯一、同性婚を認めていない国なのだ。
『皆が少しでも幸せになりますように』おばちゃんの願いはシンプルである。
火鍋会のエピローグ
妹:「姉ちゃん、私の食べる量って、昔は『男』だったけど、今は、少し少なくなって『女の子』の食べる量になったわよね~」
私:「アホかい?!あなたも年取って食べる量が少なくなったのよ!!」
妹&姉ちゃん:爆笑