死後の世界は、トフィーノでゆっくりと
6月14日、家族ぐるみで親しくしている友人の旦那が死んでしまった。しかも、BTSの『ソロ活動に専念』(グループの一時活動休止宣言)まで発表され、予期せぬニュースが重なり、私は、蛻(ものけ)の殻になってしまった。BTSが好きな友人の子供の事を思うと、心が苦しい。おばちゃんが、『BTSロス』なんて言っている場合ではない。
私の友人は、仕事上でも相方(以前紹介したオランダ人の相方の他に、彼女も大切な仕事の相方なのである)なので、私に病気・不慮の事故・死亡が起きたら、彼女が私のケースを引き継ぐ(彼女の身に何か起きたら、私も、同じ役目と義務を果たす)のだ。彼女の旦那の病状が発覚し、仕事と看病に奮闘する彼女に「そんなにボケてて間違いや事故を起こしたら、客に対してどう責任を取るんだ!頭が回転していないなら、辞めろ」と、時には、血も涙もない言葉でショック療法も与えながら、この数ヵ月は、彼女のケースの確認作業もしながら、自分にできる限りのサポートをしてきたつもりだ。頑固な病人、ストレスで食事が喉を通らない、娘はショックのあまりふさぎ込む、家族だからこそ遠慮が無い分、リアルなコミュニケーションが痛々しかった。
今日は、友人が四半世紀を共に過ごした人生の伴侶を失くしてから過ごす最初の週末である。仕事以外に何かしたいことはあるのか?と、聞くと、予想外な答えが戻って来た。
「トップ・ガン2を見に行きたい」
トム・クルーズか?最初の映画は1986年である。第1作目から36年の年月が経って、次作を軽くこなすのはトム・クルーズならではの業である。映画には、友人以外に2人ほどトムのファンが参加。映画を観終わった後、See you laterと、さっさと帰るのも味気ないので、おばちゃん達の立ち話が始める。
おばちゃん友①:「腐っても鯛ってトム・クルーズの事ね♡」
私の頭の中:(´・ω・`)? 彼、まだ腐っていないけど・・・
おばちゃん友②:「てっきり、トムは、最後に自己犠牲で死ぬかと思ってたわ~」
私の頭の中:щ(゚Д゚щ) い今っ、『死ぬ』って、私の友人の前で言った・・・
おばちゃん友①:「ははっー、トムが死ぬわけないじゃん。彼のエゴが死なせないわ」笑
私の頭の中:⊙.☉ まっ、また『死ぬ』言った・・・
おばちゃん友②:「そういえば、映画で誰も死ななかったよね」
私の頭の中:щ(゚Д゚щ) トムの敵は死んだぞ!
私の友人の前で、死ぬ死ぬ、連発する無責任な友達たち。
そして、会話がひと段落着くと、無意識で出た私の一言が、「ポップコーンの食べ過ぎで死にそぉ~」。
いつもの自爆である。( ̄(エ) ̄)ゞ
その夜、友人とお茶を飲みながら、『死んだらどこに行くの?』というテーマで会話が始まったのだ。
私の友人は心が綺麗なので、科学的根拠の無い、ある意味とてもロマンチックな『輪廻転生』を語りだした。私の意見はどうなのか?と、聞くので、「知らん。死んだら魂が自由になれるから、生前に望んだ場所に行けたり、望んだ姿や形になれるんじゃない?天国に行きたいと望む人は天国に行くだろうし、生まれ変わりたいという人は生まれ変わる」と、答え、「私は、この世を去ったら、UKのSeven Sistersから平和にドーバー海峡を眺めたいわ。そこに集まる魂たちと生前の思い出話でも語るわ」と、続けた。
友人は、「私の主人は、トフィーノでの散骨を望んでいたわ」と言ったので、私は、「じゃあ、8月にでもトフィーノに旅行に行くか?」と、言いながら、これからは、壮大な太平洋を眺めてゆっくりした時間を過ごすようにと、心の中で友人の旦那に伝えた。自分の意思や気持ちを伝えられるのは、生きているうちだけ。後悔の無い人生を!