ジジイと呼ばれる大家⑰コケの生すまで

私の人生で、ちょっとコケが生えちゃった車は、何度か見たことがある。だいたいのコケの生えた車は、スプレー缶の緑ペンキをカジュアルに吹き付けたような感じで生えている。

が、しかし・・・・・

ジジイの有名オンボロトラックのコケは、そんな中途半端な生え方ではないのだ!

ジャジャーン。元気に青々育っている。厚みもある!たぶん、しっとりしているともうかがえる。

そんでもって、サイドにも・・・・

私が、ちょっとでも触ろうとすると、「ダメだ。コケを取っては!!」と、ジジイが阻止するのだ。『コケがどこまで育つかチャレンジ』でも企んでいるのか?ジジイよ。

「そんなにコケとトラックが大切なら、ジジイの墓穴に一緒に放り込んであげるから安心しろ」と、ジジイに言うと、「ラジオのアンテナは地上に出しておけよ!」と訳の分からないことをジジイは言った。

あれから1か月後のこと(2021年の年末)、歴史的な寒波がカナダを襲った!

ジジイのトラックには、氷柱がびっしり・・・・・

スティーブン・キングの映画に出てきそうな迫力さえ感じる。

寒いと人も動きが鈍くなるようにオンボロトラックも動きが鈍くなってしまうという事で、ジジイが、早速、エンジンをかけてみた。

ブルブルブルる~ん。

あっ、動いた。

・・・・・(静)

あっ、止まった。

私:「ジジイ、止まっちゃったぞ!」

ジジイ:「当たり前だ、止めたのだ」

私:「エンジンがかかってから最低でも5kmくらいは走行するほうが、エンジンには、良いのだぞ!」

ジジイ:「この道路の凍結状態とオンボロトラックで走ったら、危険だ。じゃあ、独裁者が走らせて来い!」

富士急ハイランドの絶叫アトラクションに乗るよりも怖いことを言うな!