ジジイと呼ばれる大家⑩宿命のライバル、アライグマ その3
いやぁー、今日のジジイとアライグマの仁義なき戦いは、テナント全員とワイルドライフのご近所様を巻き込んだお騒がせ大劇場。あー、疲れた。
事のいきさつは、いつものとおりバルコニーで誰かが暴れている音がしたので、スマホを持って外に出ていくと。。。。あらっ、アライグマちゃん。こんにちは。元気にしてた?
アライグマの写真を撮っている私の背後からドタバタと足音が近づいてきた。それは、疑うことなくジジイ。
ジジイは、アライグマを追跡し、敷地内をぐるぐると回る。笑
私もスマホを握りジジイとアライグマの後を追って、グルグルと敷地内を回る。汗

ジジイよ、2x4木材握ってるけど、意味あるの?
そんな2人のアホな騒ぎを聞いて、お隣の姉ちゃんも庭に出てくる。
アライグマは、旧屋敷である(現在の寝床は、ジジイのバルコニーのソファ)モミの木に登った。さすが、アライグマ。木登りがとても上手だ。私が、彼の軽やかな身のこなしに感心していると、ジジイが、ゴム銃(スリングショット)と冷凍オリーブを準備して戦闘態勢に入った。

お隣の姉ちゃんも私も勿論、ブーイング。
「ジジイ、人道的ではないぞ!」お隣の姉ちゃんが、怒る。
「ジジイ、やめろぉ~、アライグマが死ぬぞぉ~」私が叫ぶ。
騒ぎを聞いたアジュマ(ジジイのお友達)も出てきて、「止めて~、911(カナダの救急車、警察署そして消防署に電話するときの共通の電話番号)に電話するわよ~」とジジイをなだめた。
アジュマよ、ジジイを留置所に送るのもいい提案だが、アライグマと頭のいかれたジジイが、闘争をしていると通報しても、誰も止めに来てはくれないぞ。たぶん、311でバンクーバー市役所に通報しても無視されるに決まっている。それほど、ジジイとアライグマの戦いはくだらないのだ。
ゴム銃1発目=大外れ
ゴム銃2発目=木に当たって跳ね返ってきたオリーブが私の右横をかすめる
「ジジイ、私に当てたら、訴えるぞ!」私は、またもや叫ぶ。
ゴム銃3発目にして狙いが定まって来たのか?!なんと、3発目は、アライグマではなく、少し離れた場所の枝で様子を見ていたご近所のカラス君に当たってしまった・・・・
なんで、よりによってカラスが、そこにいるの?
カアー(カラスの悲痛の鳴き声)。たぶん、通訳すると「いてぇー」と叫んだに違いない。カラス君、ご愁傷さまです。

巻き添えを食った被害者のカラス君は、パニック状態で空を舞う。そんな彼の姿は、家具の角に足の『小指』をぶつけて、あまりの激痛にかえってうろうろとしてしまう私の姿と重なる。被害者のカラス君、彼の家族、親戚、ついでに見物カラスも大騒ぎ。ジジイの近所は、カラス騒音公害地域状態。まさに、空はヒッチコックの世界。
そんなジジイの姿をあざ笑うアライグマ。夕焼けをバックに勇ましいポーズのアライグマ。

なかなかの男前である。ジジイに負けるなよ、アライグマ!
おばちゃんは、君を応援しているぞ!