ジジイと呼ばれる大家⑲家の中に存在する焼却炉

建築基準法がシンプルだった時代に立ったジジイの家は、防火規定もあいまいである。ジジイのリビングには、大きな暖炉がある。当時の大工さんが、適当に作った暖炉は、設計がいまいちで、煙が完全に煙突に吸い上げられない。リビングがちょっとだけ煙たくなるので、暖炉で火をたく日は、皆でいい具合に、焚火のいい匂いが体に染みつく。耐火ブロック炉台は、中途半端に距離が無く、ジジイのリビングの床には、焦げた後が多々見られる。(火事にならなくてよかったぞ)

この暖炉、結構な大きさがあるので、ジジイは、別の目的で使用している。その事実を知った時、環境に優しい私のライフスタイルと相反する環境破壊行為が同じ屋根の下で起きていることにかなり焦った。一体、ジジイは何をしているのか?

前回のシリーズでも何回か出てきたトピックだが、ジジイの家は、DIY改築(素人修理)のオンボロ家。オンボロトラックで資材を買いに行き、レトロな工具で加工する。実は、ジジイは、廃材を自宅の暖炉で燃やしているのだ。勿論、燃やしているのは木材の切れ端だが、時々、これ、IKEAの家具の一部じゃないの?という100%木素材ではない物も暖炉にくべられることがある。これが問題である。

ある日、庭の落ち葉を片付けていると、煙突から黒い煙が出てきた。「ジジイ、何燃やしてるんだ!?」とジジイのリビングに駆け付けると、ジジイがちゃっかり、キッチンマットを燃やしているではないか!「おい、ジジイ、頭でも狂ったのか?」早速、ジジイに説教をする。「独裁者は、心配するな。ちょびちょび燃やしているから」と、悪気が全くないジジイ。そういう問題では、ないだろう。。。

「消防車が来たらどうするの?」独裁者は、いつものようにジジイをにらむ。ジジイを取り締まらなければ、止まる所を知らない。ジジイは、しらーっと、「もう3回もこの家に消防車来てるんだよねー」と、得意げに言った。お前は、常連か・・・・全く反省の無いジジイ。しかも、フフッと、笑みまで浮かべている。奴の不適の笑みは、危険である。

一家庭の暖炉や省エネ対策など、1.5℃~2℃の気温上昇を抑えることなどは、もう手遅れである。ただ、一人一人が少しでも意識して心がけること、すなわち集団的コミットメント(Collective Action)が必要なのだ。某環境活動家のようにFly Shame(飛行機旅行を断念)や食生活の見直しまでとは言わないが、そろそろ危機感を感じてほしい。みんなが住んでいるこの地球は、皆が守るべき『美しい星』なのだ。