いよいよベネチア観光とアレーナ・ディ・ヴェローナの野外オペラ鑑賞

イタリア旅行も終盤である。いよいよベネチア観光とアレーナ・ディ・ヴェローナの野外オペラ鑑賞の出番である。今回のプランは、ベネチア州にあるパドヴァ市からミッション開始。と言うのも、パドヴァからベネチアへと向かうBurchielloという旅行会社のボート・クルーズを予約したのだ。クルーズと言っても小型の観光ボートだけど、水の上に浮辺べばそれで良し。笑

せっかくパドヴァまで来たので、もちろん観光もしなくちゃ。ホテルのチェックインを完了したら、Hugh Honour & John Flemingの世界美術史(A World History of Art)の376ページに紹介されているイタリア・ルネサンスの先駆者ジョット(GIOTTO)の装飾画を拝みに出動である。目指すは、スクロヴェーニ礼拝堂である。ちなみに、私は美術史の専門家ではないので、間違いだらけの解説をしちゃった場合は、許してね。

ジョットの活躍した時代は、13世紀後半から14世紀にかけて。あの時代で、70歳まで生きた彼は、立派な『ご長寿』である。ジョットのもたらした改革とは、今まで不自然に描かれていた宗教画を立体的に描き、かつ表情も描写し、より自然に見えるように人物像を描くという芸術界に新風を吹かせたのだ。「えっ、それだけで巨匠になれちゃったの?!」と不思議に思う人もいるとは思うが、初期宗教画に登場する人物像は、たいてい仏頂面の聖母マリア様であったり、数日間も便秘が続いたような顔のベイビー・キリスト様であったり、とにかく、不自然なのである。ジョットの貢献は、卓越した技術だけではなく貧しくリテラシー(読み書き能力)の低い人たちにバイブルのストリーをわかりやすく描いたことに成功したとも当時の美術史の先生が言ってた。

来たぞ、来たぞ、スクロヴェーニ礼拝堂。それにしても、今日も猛暑。汗、だらだらである。

装飾画を保護するために、カメラのフラッシュは、禁止。入場人数制限もして、室内の湿気をコントロール。そして、こちらが有名な『キリストの哀悼』

素晴らしい。涙

スクロヴェーニ礼拝堂の帰り道、パドヴァ大学の近くにあるボート乗り場の場所をチェック。ボート乗り場さえ美しい。イタリア最高だわ。

翌日、ボート・クルーズの日!しかし、肝心な水路であるブレンタ川が、干ばつで水位が足りず、Villa Pisani(ピサニ邸)までは、バス移動に変更。

Σ( ̄ロ ̄lll) ガーン。

Burchielloボート・ツアーは、ブレンタ川を下降しながら半日以上かけて、最終目的地のベネチアに行く旅なのである。途中、Villa Pisani(ピサニ邸)、Villa Widmann – Foscari(ヴィッラ・ウイドマン・フォスカリ)やVilla Foscari (ヴィッラ・フォスカリ)に立ち寄り、ベネチア貴族のお宅見学もする。こちらは、ピサニ邸。

規模が違う。ここにスロット・マシーンを並べたら、まさにラスベガスではないかぁ~。笑

一生懸命説明するガイドさんの横で、おばちゃんは、「早う、ボートに乗りたい」としょぼくれる。

やっと、ボートに乗れた~。こちらは、ツアー中に仲良くなったドイツ出身のオシャレご夫婦。夫婦仲良く老後の旅行なんて、皆の憧れだわ~。

前方のオレンジ・ベストを着て橋の上に立つ人物に注目。

なんと!?手動で、橋を回転させているではないか?!実は、このお二人、パドヴァ市の職員さん。週末なのに私達の乗るボートの先回りをして、橋を開けてくれる(どけてくれる?)仕事人なのだ。ボートが橋を通過するたびに、私達に手を振って「See you(またね!)」と、満面の笑みで神対応。結局、このおじさん達の手を3度も借りて、さらにボートの旅は進む。なんと長閑なイタリアの田舎運河。

午後5:30分。そろそろベネチアに到着だ。あまりの長旅で、オンボロ熊蔵は、酒に酔う。

♪はぁ~るばる来たぜベネチアに~♪水不足の川を下って~♪

ラグーンから入場するベネチアである。容赦ない日差しではあったが、すがすがしい潮風で、すっかり素人旅行者になった私。まさに『水の都』である。到着して5分もたたないうちに、次回もベネチアに遊びに来ることを誓った。笑

夕暮れ時にBridge of Sighs (ため息橋)の前を通ると・・・あらっ、リトル・ロマンス(ダイアン・レインのデビュー作)じゃない。♡

地元の言い伝えによると、日没時に恋人同士がため息橋の下でキスをすると永遠の愛が約束されるらしい。お若いカップルのお二人さん、いつまでもお幸せに!

サン・マルコ広場&寺院、カナル・グランデ、リアルト橋、ドゥカーレ宮殿などなど、お決まりの観光スポットを回り氷室京介様の『魂を抱いてくれ』を熱唱し、ベネチア終了~。

「おお、ロミオ、ロミオ、どうしてあなたはロミオなの?」

「おお、熊蔵、熊蔵、お前は、どうしてオンボロなの?」

無事にベローナ入りを果たしたのだが、正直、君を持ち歩いていての旅行は恥ずかしいわ。

ベローナは、『ロミオとジュリエット』のジュリエットの家や、毎年夏に開催される世界最大級の野外オペラでも有名。2000年の歴史を刻むアレーナ・ディ・ヴェローナ(円形闘技場)でのオペラ鑑賞、なんて贅沢なひと時。

開演時間は夜の9時。夕方の時間にアレーナ周辺を視察すると・・・

ななっ、なんと、舞台装置が外に丸出しに置いてあるではないか?!倉庫は無いのか?!あまりにも大胆な機材管理に私の心拍数が上がる。笑

夜9時。開演時間♡。おぼろ月夜の熱帯夜に、心地よい風が吹く野外劇場。蚊に刺されようが、目の前の席に座るおじさんの禿げ頭が右に左に揺れようが、私は、非常に幸せである。

私の至福の時間を演出してくれたのは、ジュゼッペ・ヴェルディの全4幕からなるナブッコ(Nabucco)。今回のベローナでの公演は、イタリア統一運動の時期に設定されていたので、イタリア人にとっては、より身近な作品に仕上がっていたに違いないと、勝手に納得。第3幕の大合唱「行け、我が想いよ、黄金の翼に乗って」が流れた時の会場の高揚感は、ブラボーであった。芸術がもたらす感激は、何よりも美しい。

幕が下がる頃には、感極まって立ち上がり拍手をするオーディエンスもいたぐらい。ルール違反と知りながら、パチッと1枚。ご覧のとおり4階建てセットの最上階にもパフォーマーが!これでオペラの規模がわかるかしら?舞台に本物の馬が登場するやら、300人はいるであろうパフォーマーの数、風に揺れるイタリア国旗、3時間17分にわたる幻想的な夜は、あっと間に過ぎてしまった。

イタリア旅行の最後を飾るにふさわしいパフォーマンスで、おばちゃん、幸せ。次回は、ロンドン旅行の合間にベローナに来て、トゥーランドットを見に来よう!