They fuck you up, your mum and dad.  親にならないことが解決策なの?

昨晩の出来事。私は、急にMax VelthuijisのFrog in Loveが本棚のどこにあるのかが気になり、本棚の整理を始めた。私の本棚には、心をほっこりさせてくれる本がたくさんあるのだ。

が、しかし・・・・・見つけてしまったのは、フィリップ・ラーキン(イギリスの詩人)の詩であった。しかも、ページの間には、紙が挟んである。汗

恐る恐るページをめくってみると…

This Be The Verse

They fuck you up, your mum and dad.  

They may not mean to, but they do.  

They fill you with the faults they had

And add some extra, just for you.

But they were fucked up in their turn

By fools in old-style hats and coats,  

Who half the time were soppy-stern

And half at one another’s throats.

Man hands on misery to man.

It deepens like a coastal shelf.

Get out as early as you can,

And don’t have any kids yourself.

日本語訳は、こんな感じ。

親は魂を傷つける、母も父も

彼らは意図しないかもしれないが、それは事実だ

彼らは自身の欠点で君を満たし

そして何か余分なものを付け加える

しかし、彼らもまた過去の懐古心を背負い

古風な帽子とコートの馬鹿な人々によって

半分は感傷的に、半分は互いに敵対的に

言い争いをして過ごしたのだ

人は苦しみを次の人に受け継ぐ

それは海岸のように深まっていく

できるだけ早く逃げ出し

そして、自分自身には子供を持つな

アマガエル君が、白いアヒルさんに恋に落ちる話を読みたかったのに、こんな暗い詩に再び巡り合うとは。

This Be The Verseは、親が子供に及ぼす影響と、世代を超えて続く苦しみのサイクルを厳しい視点から描いている。冒頭の部分がやばい。They fuck you up, your mum and dad・・・でも、自分には、それがどんな気持ちなのかが理解できる。親が意図しなくても親の毒が子供に侵食し、それが、And add some extra, just for you(そして、ちょっとだけ、君だけのために追加してやる)みたいな曖昧な感じで、子供が既存の問題だけでなく、新たな問題を親から継承する苦しみが理解できるのだ。なぜ、子供が、親の欠点と不完全さを受け継がなければいけないのか・・・・まさに、They fuck you upである。

でも、自分の親にも親がいる。ラーキンは、親自身がかつて自分の親から影響を受けた子供だったことについても焦点を当てる。fools in old-style hats and coats(古風な帽子とコートの馬鹿な人々)は、前の世代の親または祖父母を指し、これらの長者たちは自分たちの問題や対立も抱えていたと描かれている。

最後のスタンザでは、この世代から世代へと苦しみと不調和を受け継ぐサイクルは不可避で逃れられないものであり、It deepens like a coastal shelf(それは海岸のように深まっていく)という比喩で、読み手に問いかける。『年月をかけて侵食されていくイギリスの海岸線』と『家族のダイナミクスと世代間の影響が個人の人生をどのように形作していくか』を重ね合わせるとは、流石である、ラーキン。

不幸が時間とともに積み重なり、世代間の問題と苦しみの伝達の暗い詩を書き、最終的には親にならないことがこの苦しみのサイクルを打破する唯一の方法かもしれないと示唆するラーキンの詩、まさに直球である。笑

本当は、(笑)なんて付けてる場合ではない。この詩の中に登場する子供の立場に共感し、And don’t have any kids yourself(そして、自分自身には子供を持つな)を選択した自分は、楽しく好き勝手なことをしながら暮らしている。子供を産まないが別の形で、社会や地球の未来に貢献する方法はいくらでもあるのだ。自分のした選択に自信を持つことで、過去の大変だった経験に足を引っ張られなくて済むのだ。