ジジイと呼ばれる大家③いつまであると思うな親とガムテープ

ジジイの敷地の中には、物置用に建てられたガラージが2つある。1つは、ガラクタがぎっしり詰まった傾いたガラージ。もう1つは、未完成のDYI物置。屋根が、ブルーシート(北アメリカではタープという)という緊急事態のad hoc素材なのだ。未完成なのがジジイのDIY。85%まで完成すると次のプロジェクトに移ってしまうので、癖が悪い。ベランダの屋根が飛び続けるのも、屋根をネジで固定しないからだ。最悪なのは、未完成癖だけではない。チープなジジイは、安い素材ばかり買うので、修理をしても持久性が無い。笑

安くて、簡単で、それなりに持久性があって、素人でも使えるのがガムテープ。ガムテープの中でも、ムダ毛をむしり取れるぐらいの強力ガムテープというものがある。このガムテープが、ジジイの家の中と外で、非常に有効利用されているのだ。まずは、見えないところの壁の穴は、ガムテープで塞ぐ。ビリっ+ペタで、修理が完了するのだ。

そして、ジジイによくありがちな間違った枝を切り落とす癖。ジジイの庭の木は、見たことが無いほどナンセンスな剪定がされている。ある時、玄関先の恥ずかしい剪定の木が気になったので、ジジイになぜ、中途半端に枝を切るのか?と尋ねたことがある。すると、ジジイは、「ほら、日本庭園の木は、あんな感じにカットしてあるだろう?ジャパンスタイルだ」と、誇らしげに答えた。ジャパンスタイルって何だ?もしかして、綺麗に手入れされた松の木の剪定の事を指しているのか?ジジイよ、誰が見てもお前の剪定は、間違っているぞ。

日本の庭師は、間違えて切り落としそうになった枝をガムテープで巻いてごまかさないぞ。むしろ、バランスを間違えることはほぼ無い。ジジイを観察していて、学んだ技術は、6割ほど切り口を入れてしまった枝もガムテープでしっかり巻いて固定をすれば、枝が枯れないのだ。最初は、冗談だろジジイ!と思ったが、It works!なのだ。グルグル+ビリっで、木も助かる。

最近のガムテープ利用実例は、独裁者への『無言の抵抗』として、抗議のネタに使われた。『チャイナマン』事件だ。(ジジイは、古い時代の人なので、『チャイナマン』が、現在では差別的な意味合いを帯びる場合もあることを知らない。悪気が全く無いので、許してください。中国国籍の皆様には、心からリスペクトしております!)『チャイナマン』は、高さが50センチほどの中国のお土産品で、3年前に他界したジジイのお母さんの遺品である。遺品なのに、庭の片隅にゴミのように放置され、粗末に扱われている『チャイナマン』。ある夜、私が外にあるゴミ捨て場に生ごみを持って行った時の事、アクシデントで『チャイナマン』を蹴り倒してしまった。残念なことに、彼の首がボキっと折れてしまったのだ。

翌朝、「昨晩時刻未定『チャイナマン』さんは、不慮の事故でお亡くなりになりました。ジジイ、ごめんなさい」と、お詫びのテキストを入れた。「独裁者のやりかねんことだ」と、ジジイに嫌味を言われたが、ジジイは、即座にガムテープを取り出すと、『チャイナマン』の首にグルグル+ビリっと、応急処置をした。今までゴミ同様だった『チャイナマン』は、独裁者の魔の手から存続の危機を経験したことにより、ジジイから大切に扱われるという愛をもらうことになった。『チャイナマン』を修理しながら、お母さんのことを思い出していたんだろう。ジジイのお母さんの思い出話に花が咲く。その後、『チャイナマン』は、庭の端っこからバルコニーの装飾品にアップグレードを遂げ、マフラーまで巻いてもらうようになった。ジジイ、いつまであると思うな親とガムテープ。家の修理や補修は、手遅れになる前に修理しろ!

めでたし。めでたし。