世にも奇妙なスピリチュアル・ツアー
ちょいと昔の事だが、クライアントとのミーティング中の余談で、「〇〇さん、私最近、自己啓発セミナーに通い始めたんです。スピリチュアル系なんですけど」と、恥ずかし気に話してくれた。中高年の多くの女性が、サクッとかじる程度に経験するか、蟻地獄のようにどっぷりはまるか。。。。全てのスピリチュアル系自己啓発セミナーの否定はしないけれど、自身の体験も含め知り合いたちの体験談は、賛否両論。
ちなみに、私自身のスピリチュアル系啓蒙セミナー体験は、題して『スピリチュアルのはずが除霊!宜保 愛子特別番組級の怖い体験』であった。(若い世代は、冝保愛子さん知らないよね・・・私の年齢ばればれ)事の発端は、私の知り合いが、某温泉地にあるペンションを貸し切り、スピリチュアルセミナーを開催するという企画を立てたのがきっかけ。しかも、香港から有名な先生をお呼びするというオマケ得点付き。ペンションの女将さんの手作り料理と久々の田舎温泉小旅行という企画に、『おおっー、楽しそう!』という軽い気持ちで返事をしたのが、当時の私。
時は戦国時代、無数の武者が命を絶った某温泉地。そんなことは、何一つ知らない私は、目的地に到着して「ああー、空気が美味しいー。日本の田舎、素晴らしいわ~」と、森林浴に大興奮。車を駐車場に止め、ペンションの玄関に入り、セミナー参加者とダイニングエリアで合流したのが、初日の午後。先に到着していた参加者のほとんどが、スピリチュアル・アドバンスレベルのベテラン。一方の私は、明らかに招かざる参加者。そんな鈍感な私も、何となく他の参加者の様子がおかしい。。。。と、感じたんです。なぜかって?みんなが何故か険しい顔をしていたから。
セミナーの合流ミーティングが始まると、いきなりバッサリ「このペンション、落ち武者の地縛霊がいる」と爆弾発言が!私のブレインが「あれっ、日本語聞き間違えた?」と、自動的に否定モードに切り替わった矢先に、ペンションのご主人様曰く「事実、落ち武者の幽霊を幾度も見たことがありまして、ここに住み始めてから不幸が重なっています」と。。。もう、私の頭の中は、冝保愛子の特番モード。温泉どころじゃないし、トイレだって一人でいけないじゃないか~。
夕食後にセミナー参加者と一緒に行った温泉もリラックスどころではない。温泉に浸りながら『落ち武者~絶対出て来るな~』と唱えながら祈っていた私。ペンションに戻り、ダイニングエリアでお茶をいただきながら親睦を深める時間を過ごすはずだったが、気分的にはそれどころじゃない。すると、急に若い女の子の参加者たちがケンカをし始めた。「まあまあまあ、二人とも」と宥めながら主催者が止めに入ったのだが、少し様子がおかしいことに気が付いたらしく、直ぐに先生に相談。その場にただならぬ緊張感が高まり、当事者の片割れの女の子の表情が、みるみる豹変していった。霊視ができる参加者が、○○ちゃんは、狐に取りつかれたと、言い出すかと思ったら、先生を含めベテラン参加者は、落ち武者の霊(私の中では禁断のトピック)が混乱を巻き起こしていると言い出し、私は、真っ青。What the f〇〇k状態。
その後、私が目にした光景は、ペンションの除霊作業やら、女の子の体から狐を出す除霊やら、浄化やらオカルト体験てんこ盛り。あの夜の様々なシーンが脳裏に現れては過ぎ去って、まるで走馬灯のように覚えている私のスピリチュアル系自己啓発セミナー体験。14万円の参加費用で経験した何ともまあ不思議な体験。あー、ハードコア―だったわ。幸いなことに、2日間にわたる私の参加したスピリチュアル系自己啓発セミナーは、死傷者を出すことなく無事に終了。いい意味で(あの時は、怖い思いをしたけれど)期待を裏切らない私の知人は、エンターテイナーだ。
一連の体験を聞き終えたクライアントさんは、ドン引きしていた。そんな彼女に、「要は、一般的にスピリチュアル系自己啓発セミナーに参加する時は、逃げ道の確保が大事よ。火災訓練と同じ」と、アドバイスをした。クライアントさんが、理解に苦しむ顔をしたので、「スピリチュアルって、コントロールがとれた焚火だと、暖を取れて心地よいけど、山火事になったら、もう最後。スピリチュアルが、あなたをコントロールし始めたら緊急避難よ」と、一言添えてみた。
自分をときめかせてくれたスピリチュアルな人って、正直、スピリチュアルを商売にしていない。『自分の目標を達成したり』、『夢を叶えたり』、『多くのファンの心をつかんだり』、『苦労して何度でも立ち上がり、その結果、強くなれたり』、『悩んで傷ついて優しい人になったり』いろいろな経験を経て揺るぎない価値観や哲学を持った自分らしく生きている人たち。いつも謙虚に生きることで、宇宙の法則という旋律のリズムが、彼らの後押しをしてくれている。そういうもんじゃないかな?