人生初の遺言状

人生半分生きた。お一人様人生とは、『一人称』で己の『終』と『活』をプランしなければならないのだ。『活』に関しては、マイペースに日々を生きているが、それなりに資産運用もしているつもりである。仕事も自分に恥じるような事はしないし、せこい事など一切しない。有難いことに、健康には全く問題が無く、住まいは、ジジイの激安家賃で、とても助かっている。今までの人生を一言で表現すなら『感謝』である。

という事で、『終』のほうを考えてみた。私の終末期やこの世を去った後は、どうなるのか?ということだ。特に、不慮の事故で急にあの世に出発をすることになったら、放っておけない幾つかの課題が残る。例えば、16年間一緒に暮らしている観葉植物(サンゴアブラギリ)のムーピー君は、どうなっちゃうのか?それに、私の資産が、公益資金として処理されてしまっては、不服である。

よし、遺言状を書こう!

早速、弁護士に連絡。数日後、遺言状の作成に必要なチェックリスト(準備リスト)が弁護士から届く。

チェックリスト①遺言執行者

ほほーっ、遺言執行者を決めないといけないのか!という事は、私よりも若くて、正直で、しっかりしていて、頭の切れる人間。T.Cよ、貴方しかいない。別名『オカン』と呼ばれる私のメンターである。オカンは、私の現在のキャリアの指導者である。私よりも10歳以上も若いのに私の世話を焼いてくれる頼もしいメンターなのだ。度々思うのだが、自分より若い指導者に教えをいただくのは、非常に気分の良い経験であり、自分はとてもラッキーだと思っている。オカンの舎弟歴10年、まだまだ学ぶことが盛りだくさんだ。早速、オカンに電話をして遺言執行者をお願いしたら、快く引き受けてくれた。ありがとさん。

チェックリスト②葬式と墓

お経の代わりに氷室京介の曲を流してくれるお寺があったら墓というオプションを検討するが、散骨を選択。散骨の場所をイギリスのSeven Sistersに指定。海に散骨する人も多いようだが、肉体が無いとは言えども足が付かない場所に散骨されては、いささか困るという理由で、私の灰は陸に撒いていただくことにする。友達のTちゃんを散骨係に任命。Tちゃん、頼むぞ!

チェックリスト③相続

この相続という課題が、意外と面倒であった。もちろん、私の家族や親せきの子供たちに相続を引き受けていただくことになるのだが、万が一、全ての相続人が死亡してしまった場合を考えなければならない。うーん、という事は、寄付だ。結局、相続が成立せずに寄付になる場合は、半分は環境保護(アマゾン原生林保護)で半分は、恵まれない家庭に育つ子供達の保護団体に決定。

最後のチェックリスト④思い出の物や貴重品

パーソナルな物って、「誰がそんなもの欲しいのか?」と、聞かれると回答に困る。ゾウを飲み込んだアナコンダの陶芸作品をもらった人の気持ちを考えると、ご愁傷様である。変な物は私が生きている内に処分しなければならない。

何だかんだで、人生初の遺言状ができた。改めて、自分という存在が、毎日の『有り難い』という目に見えない幸せの力が寄せ集まって『生かされている』のだと実感した。もちろん、人生には快晴の日もあれば、雨降りの日もある。時には、どしゃ降りの日だってある。そんな破天荒な人生であったとしても、死ぬ前に「ああ~、楽しい人生だった!」と思って目を閉じることができれば花マルである。